星を採る人

ある「星採り」のお話。

発 端

あの夏、私は、星を採ろうと思った。
ギヨネル校二年生の夏休み、私は二人の級友と二泊三日の日程で、千五百メートルにも満たないアーマガイ山系にキャンプ旅行をした。
薄暗い針葉樹林帯を、全く誰にも会わずに数時間延々と歩いているうち、同じ所を何度も通った気がしてきて、方向が分からなくなった。地図と方位磁石はあったのだが現在位置が判明せず、どちらの方角へ進むべきか三人の意見が分かれてしまった。夕闇が迫り、星が瞬きはじめた。草むらの開けた所にテントを張り、疲れた三人は黙ったまま簡単な食事をとると、それぞれの寝袋で寝てしまった。
夜中、私はふと目が覚めて、外に出た。満天の星であった。決して聴くことのできない、膨大な何かで満ちている星空があった。見つめていると、いつの間にか、星との距離感がなくなっているのに気がついた。おそるおそる私は手を伸ばした。……指先が……星に……触れ……た……!

hositori01

poojeeの画文集。文芸社刊。本文60ページ。¥1,470。ISBN978-4-286-03260-3。

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